原油先物ではなくエネルギー会社を買う意義とその優位性

昨年の世界全体でのリザーブ・リプレースメントレシオは 51% (米国を除くと 14%)




17/01/19 ロイターから, 世界で発見された石油天然ガス埋蔵量が 1940 年代以来, 70 年ぶりの低水準との記事がありました.


昨年 2016 年に新規で発見された油田は 82 億バレル分とのことです. 2015 年度に採掘された天然ガス, 原油は石油換算 580 億バレルなので,  世界全体でのリザーブ・リプレースメント・レシオ はたったの 14% しかなかったことになります. ただ, この記事に少し目を通すと, この新規確認埋蔵量には, 北米のシェールオイルの発見量は計算に加えられていません。 せっかくなので北米で発見された油田も含めて新規確認埋蔵量を求めてみることにしました. 2016年に北米では米国テキサス州で 原油 200 億バレル, 天然ガス 16 億バレル 計原油換算 216 億バレル分の巨大なシェール油田(どの程度の割合で採算が合うのかは分かりません。) が新規に発見されていましたので, これを足して リザーブ・リプレースメント・レシオを求め直すと 51% になります. これでもたった半分です. 昨年からの原油価格の低迷で上流部門の投資額が減った影響が大きく出ています.

企業の保守的な行動は需給バランスを調整する方向に働く.
原油価格が下がれば, 企業としては経費を節約するために投資を抑制します. これが結果として数年後の需給逼迫につながっていきます. 商品価格は需要と供給で決まります. 生産者, 消費者の互いの利益になるポイントに価格は収まります. 特に, お金に色がないように私たち消費者にとっても原油に色はありません. こういった差別化できない商品は特に需給の影響を強く受けるでしょう.

セクターの逆境は強固な会社を明らかにする.
需要が高ければ供給が増え, 増えすぎた供給で価格が下がる. 価格が低いときはその逆が起こります. 寄せては返す波と同じですが, その過程で競争力の低い生産者は淘汰され, 価格競争力の高い会社に寡占化が進みます. たとえその時不人気なセクターでも, 生き残った会社には強固なワイドモートができるのです. 例えば, 逆境にもかかわらず開発投資に資金を振り向けられる会社は特に魅力的といえるでしょう.

先物を買うより会社を買おう.
その波の上にエネルギー会社が浮いています. 彼らは自らが生き残るために必死で状況に対応します. これが人の力であり, 魅力であり, それはそのまま会社を買う大きな魅力となっています. 原油が安いからと先物を買い, 直接その波に乗るよりは, 彼らが操る船に乗り, その船を提供した仲間として定期的に配当を受け取るのです. こういった立ち位置から会社を買うことを選ぶのも一考だとおもいます
残る大きな問題はどの船に乗るかということです. これはまた記事として近々アップします.

補足
もちろん, 商品取引は手数料を考えればマイナスサムゲームであり, 私から見て魅力が薄いという根本的な理由もあります. 投資はプラスサムゲームの中で行うからこそ価値があります. 今回そこには目をつむり, 人が持つ生存欲求を, 会社を買う魅力としてまとめてみました.
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