(投資資料) ウェルスナビの投資先: バンガード FTSEエマージングマーケッツETF(VWO)

ウェルスナビの投資先 ETF 7 種類のうちの一つです.
その他の ETF はこちらを参照ください.

VWO

FTSE エマージング・マーケッツ・オールキャップ (含む中国A株) に連動する ETF であり, 時価総額加重型の株価指数です. 主な投資対象は 中国, 台湾, インド, ブラジル, 南アフリカ, ロシアです.名前の通り新興国株を網羅した ETF となっています. 2013 年 01 月 09 日までは MSCI エマージング・マーケッツ・インデックス を指数に採用していましたが 2016 0918 日に現在の指数に完全に移行しています.
信託報酬は 0.14% と, 他の 2 銘柄 VTI(0.05%), VEA(0.09%) と比較して若干高いです.



FTSE
FTSE の説明については VEA の記事を参照ください.


指数の特徴

新興国株の株式から成り立っている指数です. 大型株だけでなく, 中, 小型株を含めた 4249 銘柄から成り立っています. MSCI エマージング・マーケッツ・インデックスとの一番の違いは韓国 (MSCIは構成比 14.5% で韓国を含んでいます. 中国に次いで 2 位です) が指数に含まれているか否かです.

国別構成比率
上位 10 ヵ国で構成比の約 90% を占めています. そのうちアジア圏が指数の約 55% を占めています. 特に中国, 台湾の 2 地域の構成比が高く(約 44%), 続いて ASEAN 地域 (タイ, マレーシア, インドネシア,  3 ヵ国で約 10%) となっています. これら地域は中国との貿易も活発であり, 中国の景気の良し悪しで, これら地域の景気も左右されます. よって中国経済に大きく影響を受ける指数です.

VWO のセクター比
比較のために VTI のセクター比を示します.
構成比の 1 位, 2 位は共に金融, テクノロジー (情報技術) ですが, 新興国ではその割合が高く約 43% を占めます (VTI では 37%) です. VWO で 3 位に位置している素材が VTI では 生活必需品 (消費者サービス) となっています. 新興国と先進国では GDP の構成比が異なり, 新興国では 2 次産業が大きな割合を占めます. 一方で先進国では個人消費が大きな割合を占めます. この違いがそのまま株式市場の構成比の違いにも表れています.

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また, VTI では 12.3% を占めるヘルスケアセクターですが, VWO では最下位の 3.2% です. 医薬品は開発に莫大な資金と労力が掛かること, 長年の研究により積み重ねた膨大な候補化合物サンプルとそれらの情報が各社の資産となります. これらは一朝一夕で得られるものではなく, 先進国企業に分があります. 医薬品各社で開発化合物の構造に特徴があったりと, 得意な疾患領域もさることながら, その構造にも特徴があり面白いものです.

また, 先進国各国で医薬品を販売する場合 GMP に準拠した製造が求められます. これを達成するのは容易ではなく, 日本の医薬品原薬受諾製造会社もかなりの労力をかけて FDA 査察などに対応しています. このような背景から新興国企業の先進国市場への参入には大きな壁がありヘルスケアセクターの成長が遅れています.

しかしながら, 近年の中国をはじめとする新興国企業も徐々に医薬品中間体だけではなく GMP に対応した原薬の供給が可能となってきている事から, 徐々にこのセクターも育っていくでしょう.

少し話がずれました. VWO に話を戻します

構成銘柄上位 10
上位 10 社です.

テンセント (2 位: 情報技術), 中国建設銀行 (3 位: 金融), チャイナモバイル (5 位: 電気通信) など日本でも知れた企業が含まれていますが, 一方で本拠地がどこかわからない会社も多いです. 上位 10 銘柄で 16.4% を占めます.


以下にこれら 10 位銘柄を簡単に紹介します.

Taiwan Semiconductor Manufacturing (台湾: 半導体受諾製造最大手)

Tencent (中国: メッセージアプリ, ウィーチャットのシェアは断トツ, モバイルゲーム最大手の Super Cell を傘下に持つ)

China  Construction Bank Corp. (中国: 総資産世界 2 位. 1954 年設立. 名前の通りインフラ建設資金の融資に強みを持つ.)

Naspers (南アフリカ: メディア企業, テンセント株の 34% を所有する筆頭株主であることに加え, ロシアのインターネット関連企業 Mail.ru30% を有する. 本業よりも投資先企業による企業価値の向上が著しい.)

China Mobile (中国: 世界最大の加入者数を誇る通信会社. 中国の国策企業. 独自の通信規格を採用している. 収益力, 市場シェア (約 60%) 共に突出している (2 位 China Unicom3 倍程度の加入者数).

Indastrial & Commerciel bank of China (中国: 総資産世界 1 位. 設立 1984 年と中国 4 大銀行の中では最も歴史が浅い. 名前の通り, 工業, 商業の両企業群を顧客に持ちそのすそ野は広い.)

Hon Hai Precision Industry (台湾: 電子機器受諾製造世界最大手. 日本人にもニュース等でなじみがある会社. シャープを買収し親会社となる.)

Petroleo Brasileiro (ブラジル: エネルギー会社, ブラジル政府が 55.7% の株式を所有する国策企業. 同国内 1 位の規模)

Bank of China (中国: 中国 4 大銀行中第 4 位であるものの, 設立は最も古く 1912 年までさかのぼる. 香港ドル発券銀行のうちの一つ)

Itau Unibanco Holding S. A (ブラジル: 銀行, 同国内最大手. )

ざっと見ていきましたが, 世界的な企業も多々あります. 一方で金融業の占める割合はやはり大きく, 有事の際には指数が大きく下がる可能性は否定できません. それでも新興国の成長を広く浅く取り込むには適した ETF です.

仮に, 『この ETF は買いますか?』 と質問を受けた場合には, 現在の私の投資先比率では, 新興国, 特に中国が最も大きな値を占めています. よって今のところ購入予定はありません.

過去 10 年間のチャートです


米国除く先進国株同様, この 10 年間停滞していたことが良く分かります.

分配金利回りです.

分配金推移
米ドル
2013
1.125
2014
1.143
2015
1.066
2016
0.900
分配金利回り 2.33% (2017/04/23)

上記の通り分配金利回りは漸減傾向にあるように見えます. 新興国企業の業績低迷が見て取れます.

まとめ
新興国企業, 特に中企業, 小企業の情報は限られているため, ある程度リスクを抑えて新興国に投資を行う場合にはこの ETF に利点があります.

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