Kellogg (ケロッグ) と General Mills (ゼネラル ミルズ) を比較した.

米国株投資家に人気が高い General Mills (GIS) および Kellogg (K) ですが, 消費者の嗜好の変化と共に業績が絶賛低迷中といわれています. そのため 2016 年中頃を頂点としてこの一年は株価が下がり続けており, 両社とも 1 年間で -18%, 年初からでは -15% を記録しています. ここ最近の GIS と K の値動きは殆ど一緒ですね. 同期間の S&P 500 指数は +17% (1 年間) ですから, その差は 32% と大幅に under-perform してきたことが良く分かります.

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株価変化率比較 (1 年間)



GISについて
製品構成, 販売地域

商品の種類別と販売地域の売上高構成比です. 商品構成比を見て誰もが感じる事はかなりバランスの取れた構成比だという事ですね. 私としては好感が持てる部分です. スナック, シリアル, convinient meals (冷食等), ヨーグルトで構成比の 70% を占めています. 食事を手ばやく済ませたいと思う人々の要求に総合的に応える企業です. 残りはホットケーキミックスなどの原材料ですね. この円グラフによるとみんな大好きハーゲンダッツは売上構成比の 5% 程度なんですね. 意外と少ないです.


販売地域については北米小売りとコンビニ&フードサービスで 77% を占めています. 米国会社四季報によると売上高の 72% は米国です. 本会社の発展は米国の発展と米国人の嗜好の変化への対応に掛かっていますね. まぁ, これについては以下のケロッグでも同じことが言えます.


K について
製品構成, 販売地域

決算報告資料からグラフを引っ張り出してきてみましたが, 肝心の比率が目に見える形で書かれていません. でもまぁ大体の雰囲気は分かります.


K は GIS と異なりその製品構成は集中的です. シリアルを生み出した会社だけあり, 売り上げの 50% はシリアルでできています. そして残りの大半がスナックです. これらの比率を合わせるとおよそ売上の 90% にも達します. スナックは日本でもおなじみのプリングルスを傘下に収めています. 特定の分野に突出した製品ポートフォリオは他社と比べて秀でた製品を有する会社ならではの構成といったところです. APPL や KO に通じるものがありますね.


販売地域は GIS と同じく北米偏重です. 米国会社四季報によると北米の売上比率は 65% 程度となっています. 日本でも御馴染みの K ですが, 意外にアジア太平洋地域の売り上げは小さく 10% 前後といったところです. この様な地域構成比や製品構成から, 同社の置かれた状況が GIS とほぼ同じことが伝わってきます.


会社概要

会社名General MillsKellogg
銘柄コードGISK
業種食品加工食品加工
従業員数38,00037,369
PER18.428.2
予想 PER17.019.4
PBR6.9411.52
ROA7.42%4.57%
ROE35.80%34.37%
自己資本比率21.27%13.29%
予想配当利回り3.82%3.37%

基本的に全指標について GIS がより魅力的に映ります.


GIS と K の実績PER は大きな差がありますが, PER は予想を見るものだと言われますからそちらに目を向けてみます. すると予想 PER はどちらも似通ったものとなることが分かります. 若干 K の方が上回っており投資家の期待値が高いことが伺えます.



次に資本利益率を比較します. 総資本利益率 ROA は GIS が 7.4% あり K が 4.6% 程度ですから総資本を効率的に使っているのは GIS ですね. 一方で ROE は共に 34-36% 程度を示しています. 株主資本利益率に差が無い原因は財務レバレッジの掛け方が異なるからです. 自己資本比率に目を向けると GIS の 21% に対して K の自己資本比率は 13% 程度しかなく, かなり高レバレッジを効かせた経営が行われていることが分かります.


正直 ROE なんてあんまり当てにならないんですよね. 借入金を増やして高レバレッジの経営を行えばいくらでも見栄えを良くできます. 私は ROA の方が好きですね. ROA は借入金などを含めた総資本での利益率です. 会社が持つ全ての資産を元にして算出する分, 会社の稼ぐ力がより分かりやすいものとなります.


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業績推移



データ元はモーニングスターの HP です.
決算月の違いから GIS は 2017 年の業績を既に発表しており一年ずれています. しかし期間をそろえたところで結論は変わりませんのでお許しください.


2013 年の売上を頂点に両社とも 12% ほど売上を落としています. しかし, 売上の推移が同じでも売上高純利益率は違います.


K はこの 10 年間を通し, 一貫して純利益率を落としています.
2008 年前後は 9-10% を示していたものが今では 4-5% 前後です. およそ半分まで利益率が落ちています. この低下した利益率を改善するために小売店へ商品を直送する方法から倉庫へ保管し一括管理する方法に改めています. 徐々に利益率が改善に向かうかもしれませんね.


K がこの 10 年間に利益率を落とす一方で GIS は同じ 10 年間を通し, 一貫して 10% 前後の売上高純利益率を保っています. K は今後利益率が改善する可能性がありますが, これまでの業績推移と利益率を見れば GIS に軍配が上がりますね.


CF 推移



CF 推移を示しました. 両社共に多額の FCF を生み出しており, 会社運営に多額の設備投資を必要としない業種であることが分かります. 懸念材料としては売り上げの減少に伴って営業 CF, FCF の低下が続いている点でしょうか. しかしそうは言っても両社とも非常に優秀な会社ですね. 中々に甲乙つけ難いものです. ですが, 比較するといった手前, 優秀な会社であってもその 2 社間で優劣を付けなければなりません.


CF の推移を比較しても分かるように基本的に GIS の方が CF を生み出す力が強く, 営業 CF マージン 14-15%, FCF マージン 9.5-10.5% を示し共に K より良い値を示しています. これらの値は如何に効率よく売上高を CF へと繋げているかが確認できる値です. ここでも GIS に軍配が上がるといえますね.


一株当たり利益や配当性向



両社とも 2013 前後を境として 一株当たりFCF が伸び悩んでいるというか, 漸減といったところです. 一方で一株当たり配当は 2 社共に伸びています. この 10 年で K については 1.7 倍, GIS については  2.43 倍です. 増配率は GIS に軍配が上がりますね. 気になる配当性向ですが, 直近で K が 104%, GIS が 69% です. 一見すると K の配当継続性に疑問を持たれるかもしれませんが, FCF ベースで見れば 64% 程度の還元率でしかなく, まだまだ余裕があることが分かります. 一方で GIS については FCF ベースでは EPS ベースと同じく還元率が 70% 近くあります. 業績低迷が今後も続くなら増配率はこれまでと比較して緩やかなものとなりますし, 業績がさらに下がなら増配記録を止めざる負えなくなる可能性もあります. 増配余地という意味では K に軍配が上がりますね.


現在の配当利回り
   K: 3.37%
GIS: 3.82%


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結論
利益率, CF 創出力共に GIS が K を上回っています. 増配余地の観点では配当性向 100% を超えている K は不利に見えますが FCF ベースでは 64% とまだ余裕があります. 一方で GIS は FCF ベースで 70% と K と比較して若干余裕がないため, 増配余地の点では K に軍配が上がります.


両社共に似た状況ですが, 実益の GIS, 将来性の K といったところでしょうか.


実益 と 将来 どちらに重きを置くかによって選ぶ銘柄がかわります. まぁ, 両方買ってしまうというのが一番楽ですがね. 悩んだときはこの方法を採るのが一番役に立ちます.


え!?最後の一言でこれまでの議論が台無し??・・・え?


売買状況
両社を比較した結果, 私は GIS を買い増ししたのでした.
資産状況の記事で製品を酷評していたものの相対的に割安だと感じると買いたくなってしまいます(´・ω・`)


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