2017年3月22日水曜日

NTT の株主総会での一般株主質問に納得できなかったこと

将来のために投資という手段を採ることは素晴らしいことです!それはゆるぎない事実だと思っています. ただ一方で, 何が株主の利益になるのか, その基本はできればおさえておきたいポイントです.


およそ2, 3 年前に, 後日ネット配信されたNTTの株主総会を見ていました。
流れはいつもの通り, 今期の報告, 来期の見通し, 今後の通信サービスのありNTTの役割, 海外展開の目標など, 端的でわかりやすく将来性を感じさせる内容でとても好感が持てたことを覚えています.


NTTは IT バブル前後で中途半端な出資や過大なM&Aを行って大きな損失を出しました. その反省から規模の大きな買収の際は, 既に利益を出している, 儲かる体質にある会社しか買収対象にしないこととしています. この点は評価できるポイントです。
この NTT ですが, 株主還元のために近年自社株買いを積極的に行っています 2009 年から 2015 年までの 6 年間で発行済み株式数の 33% 分の自社株を既に市場又は政府から買受け償却してきました. この効果もあり, EPSは上昇し, 株価も大きく上がりました。
下記が EPS, DPS の推移, 発行済み株式数の推移です.
2009年には 200 円 だった EPS が近年大幅に上がり 350 円を超えて得います.
配当についても 55円/株 (2009年) だったものが 110円/株 と倍に増えました.



この自社株買いがEPSの上昇, それに伴う DPS の上昇へとつながり, 結果として株価の上昇へとつながっています. 私が購入した価格基準では, 配当利回りは 5.5% を超えました. 配当性向が 31% 前後と, この 6 年間でその比率が変わっていないにも関わらずです. これはひとえに自社株買いがEPSの上昇につながり既存株主一人当たりに帰属する利益が増えたからです.


一般株主質問から以下の意見が
本題に入ります.
このようなバックグラウンドから, 自社株買いの重要性と効果は明らかだと思います. にもかかわらず, 一般株主からの意見で, 一名の株主が

「自社株買いにどの様な意味があるのか全く理解できない. 多額の費用を払っている割には還元されている実感が全くない. どうせなら同じ額を配当として払い出すべきじゃないんですか」

と, このように意見されていたのです. その方の仰ることも理解できます. 支払い配当額が上がれば, 株価も釣られて上がる可能性はあります.その結果だけを見るならば, 得られた効果は同じことと言えるかもしれません. しかしそれは配当基準で値付けされた株価であり, 企業業績が背景にあるものではありません. 上記のような安定した右肩上がりの業績にはならなかったのではと思います. 私は強く自社株買いを支持していたので, どうしても賛同することが難しい意見でした.

日本では長らく自社株買いが禁止されていた.
日本では自社株買いが長い間法律で禁止されており, 企業が機動的に実施できるようになったのは 2000 年に入ってからです. よって, 多くのベテラン投資家には馴染みの薄い還元策の一つでした. こういった背景もあり, 配当という, より馴染みのある方法での利益還元を望んだのかもしれません. また日本で株主優待制度が人気となったのも, こういった法整備の欠如が遠因となっていたのかもしれません.

今年から企業が一部門を会社としてスピンオフした際に, 既存株主へ割り当てられる新株に掛かっていた税金が廃止されることに決まっています. この様に, 日本市場の法整備も徐々に米国に近づいています.
こういった流れに合わせて投資家側の考え方も徐々に変わってくれるならば, 日本市場もより魅力的な投資先へと変わっていくかもしれません.

余談ですが NTT の従業員構成で一番多い層が定年退職を控えた 55-60 歳前後の層です. 決算発表資料に毎年このグラフを出しています. この人員構成すごくないですか!? 徐々にこの層が定年退職を迎えています. 高給取りの彼らが去ることで人件費が圧縮されるため, 人件費の面では, この先数年はコスト削減も比較的楽なのだろうと思っています.
NTT 機関投資家向け説明会資料より抜粋:縦軸従業員数, 横軸年齢

トヨタと NTT が自動運転で提携しました. そのことについて少しばかり考察しています.


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