バフェット語録『グレアムを知る人は多いのに 彼の理論を実行に移す人は少ない』

バフェット氏をご存知の方ならベンジャミン・グレアム氏 (以下敬称略) もご存知の方は多いですね. グレアムはバリュー投資の父と呼ばれるように企業のファンダメンタルに基づく投資法を確立した投資家であり, 経済学者としてもよく知られています.

Sponsored link


グレアムはバフェットの師であり, バリュー投資を基本とした彼の投資法および関連する研究は, 今のバフェットを形作る礎となりました. そんなグレアムをバフェットは慕い, 自分の息子にグレアムと名付けたことも良く知られたエピソードです.


このグレアムの理論は「価値と価格の違い」「会社の事業に注目する」「安全域の確保」「分散投資の重要性」など, いまでは投資の基本『原理, 原則』とも呼べる考え方を初めて理論立てて提唱したものでした. また, 分散投資の重要性に言及している点に代表されるように, 投資による利益の最大化を追求するというよりは, むしろ市場の崩壊にも耐えうるポートフォリオの構築に重きを置く理論と見ることもできます.


このグレアムの理論に感銘を受けたバフェットも, 時には Berkshire Hathaway への投資というしくじりを経験しつつ, 本理論を自分なりの投資法へと昇華し, その結果, 投資家として大きな成功を収めました. このバフェットの投資法確立に重要な役割を果たしたのがパートナーであるチャーリー・マンガーです. 高いプレミアムを支払ってでも買う価値のある企業が存在することや, 集中投資の考え方などはグレアムの投資法に忠実であったバフェットの投資法に大きな影響を与えブレイクスルーのきっかけとなりました.

投資は一見複雑に見えますが, 重要なことは如何に複雑に見えることを単純化するかです. その一つの手法がグレアムの確立した投資理論であり, 特に, 彼の理論にあるリスクへの対処法「分散投資」と「安全域」の考え方は良い例といえます.
ある銘柄に投資を行っている時に, 下落に対するリスク管理として信用取引の空売りを利用してヘッジを掛ける手法もあります. しかし, 最も簡単で単純なリスク管理法は自分が耐えられるリスクの範囲まで保有株を減らすことです.


バフェットはこう例えます


『人間は簡単なものを小難しくするのを好む, つむじ曲がりの性格があるのです』


人の心理を突いた言葉です.

人は複雑にすることに満足し, また, 複雑であるほどに優秀で強固でもあると考える傾向があります. しかし複雑なもの程繊細であり, 急な環境の変化には脆弱です.
私たちは気が付くと物事をより複雑に捉えようとしがちです. そのため, 常により単純に物事を理解し行動するように努める必要があるのです.

Sponsored link


グレアムに関連する書籍について
私たちはグレアムの教えを知る機会に恵まれており, 関連書籍を購入できます.


彼の研究成果をまとめた書籍として『証券分析』および『賢明なる投資家』が知られており, 特に『賢明なる投資家』はバリュー投資法を採る投資家にとってはまさにバイブルといえるものです. 本書籍は改版を重ねて現在も多くの投資家の愛読書となっています.


この『賢明なる投資家』の源流である『証券分析』は 1929 年の大暴落とそれに続く大恐慌により困窮したグレアムが, その反省も含めて, 論理的思考で裏付けられた投資方法を確立すべく研究し生み出した成果を書籍化したものです. この『証券分析』は日本語訳が発売されており購入可能ですが, 書籍としてはかなり高価な部類であり手が出しにくいのが惜しいところです.


幸いにも本書の芯となる部分の考え方は,『賢明なる投資家』で十分に説明されており, その要点も押さえられていますのでご安心ください. 私はというと, お察しの通りどうしてもその中身が気になり購入して読みました. 私のリスク管理手法も本理論から大きな影響を受けています. 証券分析の初版は 1934 年であり, 今から 83 年も前ですが, 原理原則に近い理論は時代を経ても色あせずに残るということですね.


私が本書と出会ったのは, インボイスの失敗を受け, 投資も裏付けをもって行わなければならないことに気づいたからです (しくじった例としてまとめています. 関連記事又はこちらを参照ください). 投資による損失から本書と出会た私の状況は, 大暴落による損失から本書を纏めたグレアムの状況に近いものがありました. 当時の私にとって, 本書はまさに私が求めていた答えを示すものであり, 私の投資における指針となりました. 本書に沿いリスク管理を適切に行いながら投資を行った結果として, 2008 年の金融危機を耐える成果へとつながり今の投資家としての私があります.


重要なことは学んだ理論や原理原則に則して行動することです.
バフェットのこんな言葉で今回の記事を補完します.
原則を忠実に実践することの大切さを語り残した言葉です.


『船は丸い地球を帆走しようとも, 地球は平らだと考える集団は繁栄するのです』

順風または凪にある市場環境では, 誰しもが上手くいきます.
重要なのは嵐のような市場環境となった際に如何にして生き残り, 暴落時に市場平均を如何にして超えるのか, その術がパフォーマンスを上げる原動力です. グレアムの投資法の基本にはそれがあると考えています.
もちろん, バフェットの様に市場環境に合わせながら自分の投資法へと改変して行く必要がある部分もあるでしょう. しかし原理原則はそう変わるものではありません.
どんな市場環境にある時にも, 原理原則に沿って考え行動しましょう.

(余談ですが, 証券分析はページ数が多くて分厚いうえにハードカバーですからその見栄えはとても良く, 背表紙に書かれた本のタイトルからも一冊あるだけで本棚の雰囲気がこれまでと違ったものに変わります. 原理, 原則を見失わない戒めとしても, 本棚に置いていい本かもしれませんね.)

Sponsored link

関連記事です.
この銘柄での失敗のおかげで今の私があります.
しくじった銘柄 インボイス

投資だけでなく, 人生においても参考となる助言が多いのもバフェット氏の特徴です.
バフェット語録

コメント

このブログの人気の投稿

日本国内世帯の資産残高と保有資産割合, 保有資産別世帯割合の状況について, 私たちはどのように未来へと備えるのか②

持ち家より賃貸の方が有利に決まっている