中国発スポーツブランドの状況

361度国際が増収増益との記事が日経に出ていました. 実は投資先の内の一つなんですよね.
361度国際はオリンピック協賛企業であり審判やスタッフのユニフォームを供給しています. リオ五輪で審判の胸元に 361° の表記があり, その正体が気になった方も多いのではないでしょうか.

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361度国際はスポーツウェアやシューズを 361° を主要ブランドとして中国内外で展開している会社です. 私は 361° のスニーカーが好きで愛用しています. 同国内では 4000-6500 円程度とナイキやアディダス (7500-15000円) と比較して手ごろな価格帯で販売されています.

上記の通り 361° のスニーカーは値段はチープですが, デザインはいい意味で目を引くものが多く, 作りも良いため気に入っています. もちろん履き心地にも優れていますよ. また中国を訪れた際には購入したいですね.


361度国際の HP から

少し前置きが長くなりました, 日経の記事から思い立ち, せっかくなので中国発スポーツブランドについてまとめてみました.

中国発スポーツブランド 3 社と売上順位
中国には現地発の主要ブランドが 3 社あり, それぞれ香港市場に上場しています. 以下に順位とブランドを示します.

1位  ANTA
2位  LI-NING
3位  361度国際

それぞれ経営方針に特徴があります.

ANTA
国内最大手のスポーツメーカーです. 欧米で既に確立されたブランドのライセンス取得を主戦略とし同国内にて製造販売を行っています. 既に確立されたブランドを利用するため, 国内での競争力も高く順調に売上を伸ばしています.
海外ブランドの販売で稼いでいるため, 自社ブランドの優先度は相対的に低いものとなっているのが特徴ですね.

LI-NING
バドミントン用品, 卓球ウェアに定評のあるブランドです. 特にバドミントン用のシャトルは品質が良く評判がいいようです.
LI-NING はカジュアルからスポーツ用品まで多様な製品を LI-NING ブランドとして扱っています. 私好みのデザインが多くこのブランドもわりと好きです. 主要都市なら直営店が繁華街にあります.

もとは安価で高品質の運動着と運動靴を供給するメーカーでもあったため, 小中学校の体育の授業ではまさに定番として愛用されており, 同国国民から愛着と絶大な信頼を勝ち取っていた企業です. しかし最近では高級路線に切り替えアディダスやナイキと同程度の価格帯へと数年かけて値上げしました.

先の通り, 国民から愛着を持たれるのは同社のブランド価値であり強みですが, その一方でこれは弱みにも変わります.
なぜなら

LI-NING=小中学校時の体育用品=庶民的

といった構図が出来上がり, 高級路線とは相容れないためです. 同一価格ならナイキを買うよ, アディダスを買うよ, となってしまいます. その為, 数年間はこのギャップに苦しみました. 売上高の低下に加え一時的に赤字となったために, 株価も大きく売られる場面がありました. しかし, 最近ではその売り上げも回復を見せ, それに歩調を合わせて株価も回復基調となっています. 順調にブランドイメージの転換が図られていますね.

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361度国際
3 社の中では最も歴史の浅い企業になりますが そのブランド戦略には目を見張るものがあります. 361度国際は 361° を主要ブランドとして中国内外に展開しており,  スポーツ (Mass Market 向け), プレミアム (International 向け),  kids 等を 361° ブランドとして取り扱っています. 近年では kids 向け製品の開発販売に注力しておりその売り上げを順調に伸ばしています. Kids ブランドは幼いころから同社の製品に触れることで刷り込み効果も狙えるため, 長く自社ブランドを利用し定着させることに一定の効果があります.

One Way Sport
自社ブランド以外ではフィンランドの One Way Sport との合弁会社を 2013 年に設立しています. スキー用品やサイクリングウェアに定評のある会社のようですね. 361度国際では International と並ぶプレミアムブランドとして位置づけられています.

経営戦略
中国国内での売上規模拡大は当然ですが, 欧米でのブランド価値の向上と定着に重点を置いた戦略を採っています. オリンピックの協賛企業として参画している点にブランド戦略に対する同社の情熱が垣間見えますね.

先ずは欧米でブランドの地位を確立させ, それを足掛かりとして中国国内のシェア向上へとつなげるのが 361度国際の戦略です. よって欧米各国でも 361° ブランドのスニーカー等が購入できます. しかしその価格帯は $130-200 程度と欧米主要スポーツブランドにひけをとらない価格設定です. それもそのはずで, 欧米で販売されているものは 361° International として同社のプレミアムブランドに位置づけられたものだからです. 中国国内では Mass Market 向け 361° が主流ですね. そのため冒頭の価格設定となっています.

利益率
361度国際は比較的利益率も高く売上高営業利益率が 15% 程度あります. 同セクター最大手のナイキは 14.5% 前後ですからほぼ同水準の利益率となっています. 加えて業績は安定的に推移しているのも同社の魅力です.

こめんと
ちなみに 361度国際が上場する際の IPO 価格は 3.61 香港ドルでした. 銘柄コードは 1361 となっています. この様なちょっとしたこだわりが私は大好きです(´・ω・).

え?? 361度国際に記事の内容が偏ってる??
・・・え?

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