2017年9月24日日曜日

エネルギーセクターが安泰な理由. 2040 年に完全 EV 移行は夢物語.

石油の使い道の 60% 程度は輸送用燃料として使われています. この輸送用燃料とは船舶, 航空機, 自動車等の燃料という事ですが, この自動車の分野で最近急速に EV  への移行が叫ばれるようになりました. 英仏の EV 移行宣言に続き, 中国までも EV への移行を表明しています.
本当に EV への全面移行は可能なのでしょうか.

Sponsored link


自動車に要求されること


安定した航続距離
短時間での給油
耐熱性
耐寒性
耐久性
(安価)


簡単に考えてみると上記のような項目でしょうか.

現在の EV で達成されている項目はというと, 残念ながら現段階では全て未達成です.
そしてこれら全ての課題はバッテリーの問題に帰結します.


安定した航続距離
安定した航続距離で問題となるのは耐熱性耐寒性にも絡みます.  バッテリーの性能が十分に発揮できるのは一般的に 40-20oC といわれます. よってその温度管理が重要となりますが, この温度管理にもまた電力を消費します.


短期間での給油
普及の足かせとなる最も大きな問題はこれでしょうね. 現在の EV の急速充電時間はおよそ 20 分程度です. 現在の様な普及状況であっても大型連休やお盆などの帰省の際にはサービスエリア内にある充電ステーションに充電待ちの列ができます. 全くやり繰りできていません. この様な状況下において, EV が本格的な普及を見せればこの充電時間の長さと充電ステーションの不足は致命的です. ガソリンスタンド並みの充電ステーションの数とガソリン車並みの充電時間 (5 分程度) で事を終えなければガソリン車から EV へ完全に切り替える事は無理でしょう.


耐久性
耐久性については車と共通部品で使用可能な部分は申し分ないでしょうが, やはりここでもバッテリーが問題となってきます. EV といえば日産リーフが有名で, サンディエゴではテスラに次いで良く見る電気自動車です. しかしこのリーフはバッテリーの耐久性が低く,その劣化が余りにも著しいことから, リーフからの買い替えにガソリン車を選択することも多いと聞いています. しかもバッテリーの劣化に関連して中古車でも相対的に割り引かれた値段でしか取引されません.


これらの問題も金さえかければ解決可能な点もあるでしょう. しかし一部のブランドを除いて自動車は庶民的な乗り物です. 一台 150 万円程度で提供されなければなりません. この点を考慮するともう不可能ですよね. なぜなら現在の技術ではバッテリーだけでこの金額に到達してしまいます.


ガソリン車に匹敵する性能が今の EV にあるのなら, 政治的判断でいかようにも推し進めることができることでしょう. しかし, 現段階でガソリン車に劣る性能しかない EV への全面切り替えは流石に現実味の乏しい話です. 当分はエネルギーセクターは安泰であると判断しています. この様な見通しを裏付けるように, 英仏中国が 2040 年に EV への完全移行を目指す報道がなされた際にもエネルギー株の株価にはほとんど影響がみられません.


Sponsored link


EV への移行に対し考えうる現実的な方法
多分誰しもが思いつく方法ですが一応書いておきます.

着脱式のバッテリーを標準規格として採用し, このセルを集中管理するガソリンスタンドの様な充電ステーションを整備します. 車のバッテリー残量が低下したら, 充電ステーションでフル充電済みのバッテリーパックごと交換するシステムです. 利用者はガソリンスタンドで給油するようにバッテリーパックを交換できます. 煩わしい充電時間やバッテリーパックの劣化に悩まされることはこれで無くなります. この方法を社会システムとして用意できるなら既存の性能でも何とか今の社会に溶け込んでいきますよね.

しかし, この様な規格化が必要な世界は大人の事情が多分に絡んできますから, 各社で異なる規格のシステムを採用して収拾がつかない状態となることが目に見えています. プラグインハイブリットのコンセント形状で各社独自の規格を採用して標準規格化を一時期に争っていたのが記憶に新しいところです.


ちなみに, この様な社会インフラが整えられる基盤を有するのは, 既にガソリンスタンドとして多くの設備を主要道路上に有するエネルギー会社の親和性が一番高いですよね. 結局どの様なシステムを採ろうとも, 自動車という移動手段がある限りエネルギー会社が無くなることは先ず無いでしょう.

色々とウダウダ並べて参りましたが, 2040 年担っても PHV が今よりちょっと普及したくらいがせいぜいという結果とみるのが一番無難な意見かもしれないですね.

※冒頭の問題が全て解決可能で, なお且つ安価なバッテリーが 2040 年までに生み出されるならば案外簡単に解決できてしまう問題なのかもしれませんね. まぁ, 生み出せるとするならばですがね. この手の技術者に期待しています.

Sponsored link


関連記事です.
自動車つながりという事で, 自動運転もホットな話題の一つですね.
トヨタ、NTT と自動運転技術開発で提携 -国際規格認定が今後の要なのは間違いない-

他にもいろんな記事を書いています. 詳細はタブ内を参照ください.

0 件のコメント:

コメントを投稿