節税のための損出し方法

9 月に入り 2017 年の中旬も終わりに近づいてきました. そろそろ今年一年の配当金の総額も見えてきて, 損出しによる利益の相殺を利用した節税を考え始める時期ではないでしょうか. 今回は損出しの注意点と方法をまとめました.

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損出し時の注意点
同一口座内で売買する場合には売却した株の買い戻しを同一営業日内に行ってはならない


損出しで気を付けなければいけないのは, 同一口座内で売買する場合には売却した株の買い戻しを同一営業日内に行ってはならないことです.
これには理由があります. 同一銘柄の売買について, 同一日に同一口座内で取引を行った場合には売り買いの実際の手順に関係なく, 先に買い, 次に売りと集計されます.
簡単にフローチャートで示します.


保有株 100 株の損出しについて 1 日以内に売買を行った場合


実際の売買
100 株売り→ 保有株数 0 株 →100 株買い戻し


上記の投資フローの証券会社内での処理.
100 株買い→ 保有株数 200 株 → 100 株売り→ 保有株数 100 株


上記の通り, 一日の取引で先ずは買いを優先して集計し, その後売りを処理します. ここで問題となるのは, 含み損を抱えた取得価格と新たに買い戻した際の価格が平均化されてしまうことです. 具体的な金額で示します.


実例
取得価格 100 円として, 現在の値段が 50 円だとします. 所有株数は 1 株です.


損出しを一日で行った場合,


100 円 (1株) + 50 円(1 株)=75 円 (2 株)


が先ずは計算され, 次に


75 円 (2 株) - 50 円 (1 株) = 75 円 (1 株) + 25 円の損出し


と計算されます.


本来であれば 50 円損出しできるところが 25 円しか損出しできなくなります.


これをきっちりと 50 円損だしするためには営業日を変えなければならず, そのために翌営業日に買い戻しを行うこととなります. しかし実は種類の異なる口座を組み合わせることで同一日に買い戻しが可能となります.


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一般口座, 特定口座, NISA 口座は別々に資産が管理される.
一つの証券会社に一般口座, 特定口座, NISA 口座 の種類の異なる 3 つの口座を保有し, 同じ会社の株をそれぞれの口座で保有しても, それらは別々に管理されるため口座間をまたいで取得価格が平均化されることはありません.


これが意味することは, 同一証券会社の口座であっても, これら管理の異なる口座をまたいで同一銘柄を売買する場合には, 同一営業日内での売買であるにも関わらず取得価格は平均化されずに全額損出しできるということです.
※これが合法なのか否かはごめんなさい面倒で調べてないです. 使う予定の方はそれぞれで調べるか証券会社に問い合わせをお願いいたします.


買い戻しの際の NISA 口座の活用法
損だしからの買い戻しは, 配当に関する課税を, 株の値上がり益への課税へと置き換えてその支払いを繰り延べることを意味します. この税金支払いは買い戻した株を売却した際に確定しますが, この値上益に掛かる税金について NISA 口座を活用することにより永久に繰り延べることが可能となります.


方法
方法は簡単で, 株の買い戻しを NISA 口座で行うだけです. これによりこの株の値上がり益は課税対象ではなくなります. また, NISA 口座内で受け取る配当金も非課税ですから納税額を減らす効果は絶大といえますね.


デメリット
一方で本方法にはデメリットもあります, 思惑通り株価が戻らずさらに売り込まれた際には損だし銘柄として損益通算に使うことができません. これが NISA のデメリットでもありますね.

全体を通したコメント
特定口座であれば損だし後の税金還付は証券会社が代理で行ってくれます. 一般口座では確定申告が必要です. 一般口座利用者にとっては少し面倒ではありますが確定申告は慣れると簡単ですし (国税庁の HP 必要事項を入力していけば勝手にフォーマットに沿って提出書類が作成されます), 税の繰り延べは投資リターンの底上げに必須と言っても過言ではない手法であり手段です. 是非とも身に着けていきましょう.

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損だし時などに添付資料として用意しています.
Google Sheets による資産管理 一般口座取引明細書 (または特定口座取引明細書) の作り方.

外国株投資における為替との付き合い方

他にもいろんな記事を書いています. 詳細はタブ内を参照ください.

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