iShares MSCI ACWI は全世界の 大型, 中型株を網羅する ETF

全世界の大型株をこれ一本で網羅することができます.


指数の特徴
MSCI All Country World Index
MSCI コクサイで名の知れた MSCI (モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル) が作成した指数です. 先進国 23 ヵ国, 新興国 23 ヵ国にそれぞれ上場する大・中型株を対象にしたインデックスです. 現在 2400 銘柄前後が採用されており, グローバル市場の 85% をカバーしています. MSCI の指数全ての特徴ですが, 構成銘柄とその割合は実際に売買が可能な株数を元に算出した浮動株数調整後の時価総額を構成比を求める際の数値として採用しています.



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VT と異なる点.
MSCI ACWI が含む国や地域, 企業数から VT が採用する FTSE グローバル・キャップインデックスに類似していますが FTSE の指数は時価総額加重平均により銘柄の割合を決定していることと, 小型株も含むなどの違いがあります.


簡単にまとめるなら


大型, 中型に特化した世界株指数の MSCI ACWI
小型株も含み, 全世界株指数ともいえる FTSE グローバルキャップ・インデックス


といったところです.


セクター比

構成比率の高い順に金融 (18.48%), 情報技術 (17.36%), 一般消費財 (11.69%), 資本財 (11.04%), ヘルスケア (9.48%), 生活必需品 (8.38%) となっています. 構成比の並びは VT, VTI と一緒ですね. VT も MSCI ACWI も指数の半分は米国でできています. 同じ傾向を示すのもうなずけます.


指数に含まれる国と地域を以下に示します.


投資先国比率上位 10ヵ国


米国 (50.28%), 日本 (7.78%), 英国 (5.23%), 中国 (3.85%), 仏国 (3.36%) となっています. VT, MSCI コクサイと同様に本指数についても 2 位以下で既に構成比の 10% 以下です. 構成国の顔ぶれもほとんど一緒です. その一方で各国の順位は VT と多少異なります. 指数算出方法の違いが表れていますね.  


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上位構成銘柄 10 社
組み入れ上位 10 銘柄
(%)
Apple Inc
1.96
Alphabet Inc. (A+C)
1.27
Microsoft Corp
1.27
Amazon. com Inc.
0.90
FACEBOOK INC-A
0.89
JOHNSON & JOHNSON
0.85
JPMORGAN CHASE & CO
0.78
Exxon Mobil Corp.
0.73
Nestle SA
0.61
Tencent Holdings
0.6
上位 10 銘柄合計
9.86
※TOK, MSCI ACWI 共に HP では Alphabet の A 株と C 株を別々に構成銘柄として表記していましたが, 同一の会社ですから私の場合は合算して表記し直しています.


VT と構成銘柄はほぼ同じです. 若干異なるのは 10 位にテンセントが入ってきている点です
ね. 世界で最も影響力のある中国企業といえますね. 米国内でも WeChat は良く使われますし, モバイルゲームアプリ開発会社の Supercell もテンセントの子会社です. まだまだ発展を続ける可能性が濃厚な会社です. クラッシュオブクラン, クラッシュロワイヤル共に私もよく遊びます.

その一方 VT で構成銘柄 10 位だった Wells Fargo は11 位へと追いやられています. 中々不祥事の収まりが付かないですね. サンディエゴ内には至る所で支店を見かけます. 本社がカリフォルニア州サンフランシスコなのでサンディエゴに支店が多いのも当然ですが米国に根付いていることが伝わってきます.


ACWI の経費率
信託報酬 : 0.33%


VT (0.11%), VTI (0.04%), TOK (0.25%) と比較すると少し高いですね.


   
過去 10 年間のチャート



上場が 2008 年の為まだ 10 年経過していません. 金融危機直前の高値 $54.73 から 1.21 倍となっています. 金融危機後の最安値 $24.30 から 2.73 倍です.


10 年チャート比較 ACWI, VT, TOK(MSCI コクサイ)



上場後から今までの値動きを類似の指数と比較しました. 上記の通りこれら 3 つの ETF はほぼ同じ値動きを示してきたことが分かります. 基準とする指数はそれぞれ異なりますが, VT, ACWI 共に米国株への投資割合が 50% 程度で共通しています. TOK については日本が無い分少し増えて 66% 前後です. この構成割合の差で TOK のリターンは他の 2 銘柄より良くなっています. まぁ, そうは言っても構成する国や地域の比率, 投資先とする企業の顔ぶれが多少異るだけですから, 各銘柄共その値動きは米国株に引きずられて似通ったものとなっていますね.


ACWI 分配金推移


2013
1.090951
2014
1.324499
2015
1.429815
2016
1.296867


分配金利回り 1.92% (2017/08/21)


関連 ETF の分配金利回りは VT (2,15%), TOK (2.63%) となっています (2017, 8, 21).


VT, TOK, ACWI 中で上昇率, 利回り共に最も良い結果を与えたのが TOK (MSCI コクサイ) です. 上記の通り分配金利回りはそれぞれの ETF で大きく異ります. 信託報酬を差し引いても余りある違いです. それぞれの PBR, PER に大きな差がある為なのかともと思いましたが,


   VT (PBR 2.07, PER 17.39)
 TOK (PBR 2.33, PER 18.67)
ACWI (PBR 2.13, PER 17.33)


とどれも似たようなものです (2017, 8, 22). 分配金利回りの差については先進国に特化した ETF である TOK と新興国も投資先に含む VT, ACWI の違いが現れたものと推察します.
最も利回りの高い TOK が指数的に一番割高になっていますね.
※分配金利回りや各投資指標に関しては株価の関係によりその時々で変わります.


TOK (MSCI コクサイ)
確定拠出年金で外国株を購入する場合は, 本指数を採用した投資信託を通して購入することが圧倒的に多いですが, 本指数を組成した MSCI とその指数を利用することを選択した国内金融機関の目の付け所は流石といったところです.


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まとめ
ACWI は全世界の大型, 中型株へ投資する方法としては理に叶った商品であるものの, その値動きや投資対象国, 主な銘柄等は VT や TOK に類似したものが多い.


上場後から現在までの値動きを比較すると先の ETF とほぼ同様ではあるものの, 分配金利回りに着目すると VT および TOK に軍配が上がる. 加えて, 経費率の観点からも, より低い経費率を示す VT 又は TOK への投資を選択する事が現段階では望ましい.


指数とそれを参考とする ETF の運用結果を関連させて, その指数の優劣を述べるのは適切ではないかもしれませんが, 今のところは TOK, VT がより良い成果を上げていますね. 一方で, 過去 10 年に限った比較をしていますから, 今後 10 年も同様の傾向を示すか否かは読めません. MSCI ACWI を参考指数として据えている THEO の判断が吉と出るか凶とでるか, 今後の動向に注目です.

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指数, ETF の特徴をまとめています. VT, VTI, MSCI コクサイについてもこちらでまとめています.
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ウェルスナビのリスク許容度 5 段階と投資先 ETF の特徴

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