生活必需品セクターが低迷中. 各セクターを比較した

以下のチャートは 1 年間の各セクターの値動きを比較したものです. 2016/10/20 を 100 として各  ETF の変化率を比較しています. 因みに S&P500 は同期間で 20% の上昇を見せています.

1 年チャート ETF 比較


トランプ相場が始まった 16 年 11 月から突出した値動きを示しているのは VFH (金融セクター ETF +34%) です. トランプ減税による景気拡大とそれに伴う利上げ, 金融危機により絞められた規制の緩和など金融セクターが後押しされる可能性が高い政策の期待から大きく上昇を示しました.


次に良い結果を納めているのは VGT (情報技術セクター ETF +31%) ですね. こちらは言わずもがな FANG に代表される, 昨今の S&P500 の上昇を支える代表銘柄群を擁する ETF です. android, Google map, Gmail などのサービスは私たちの生活には不可欠なものとなりました. マイクロソフトが買収した LinkedIn についても米国では名刺交換替わりに互いのアカウントを交換しネットワークを構築する手段となっています. 名刺の紙一枚から得られる情報は少なく, SNS によりお互いのアカウントで繋がった方が, 得られる情報も多く重宝されます.『名刺ありがとう. ところで LinkedIn のアカウントもおしえくれると助かるよ』 こちらも既にビジネスシーンにおいて必要不可欠なものとなっています.


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生活必需品とエネルギーセクターが低迷中
さて, 今回の記事で本当に触れたかったのは VDC (生活必需品セクター ETF +3.00%) の低迷です.


生活必需品はヘルスケア, エネルギーセクターと並び, これまでに最も投資家の利益に貢献したセクターであるといわれています. 出展; 米国株投資家のバイブルともいえる『株式投資の未来』より

しかし上記チャートの通りこの一年間については生活必需品, エネルギー共に低迷しています.

特に, エネルギーセクターについては近年の原油価格の低迷および需要が頭打ちを迎えたという逆ピークオイル論からこの 1 年間のリターンは -4.83% とS&P500 と比較して大きく underperform する結果となっています.


また, 生活必需品セクターについても同様に低迷しており P&G に代表される超大型銘柄の業績伸び悩みに加えて CVS Health や Walgreens boots alliance 等の生活必需品セクターに含まれている小売業が Amazon と競合する可能性から今後の業績が不安視されて株価が暴落しています. そんな状況から, 株価が上がった銘柄はあれど下落した銘柄もあり, 全体でみれば上がって下がって元通りといった結果となっています.


これら低迷するセクター, 特に生活必需品 ETF は買いなのかと気になり, せっかくなので 各セクターの PER と予想 PER を調べてみることとしました. 結果は以下の通りです.
ついでに 1 年間の騰落率, 10 年間の騰落率, 金融危機時の下落率も合わせて載せています. 



ちなみに S&P500 の過去平均 PER は 17.45 倍です. 現在は 22 倍, 予想 PER ベースでも 20 倍強と割高なことが示唆されます.
各セクターの PER, 予想 PER の赤と緑の色分けの意味ですが, VOO の PER と予想 PER より +1 以上の場合は赤色で, -1 以下の場合は緑色で示しています. VDC (生活必需品) についてはボールド表記としています. 各セクターの過去の平均 PER を調べたのですがエビデンスある情報が見当たらず調べ切れませんでした.

この結果によると VDC の PER は 21 倍, 予想ベースでも変わりなく 21 倍と VOO と比較して予想ベースでは若干高い状況です. それでも, PEP (平均 PER 20.42), KO (平均 PER 27.42), PG (平均 PER 24.28) などの高 PER 銘柄を多数含む ETF ですから平時の PER が 20 を超えていてもおかしくは無い面があります (各データは『株式投資の未来』より抜粋). そういった意味では, 市場が過熱する中で 21 倍程度の PER を保っている VDC は相対的に見れば割安だと言えるのではないでしょうか.


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長期で見れば VDC のリターンは素晴らしいものがある.




低迷していても買いたくなる理由はこのチャートです. 基本的に S&P500 を凌駕する結果を長期では収めています. 買ったのが 2008 年の金融危機直前であったとしても早期にプラスリターンへと転じるのが本セクターの魅力です.


私の投資状況はというと, ここ最近は生活必需品セクターの拡充を図っています. 個別株になりますが本セクターの銘柄を定期的に買い増ししてきました. GIS, PM, KO が代表銘柄です. そして最近購入を検討しているのは PG と MO です.


特に PG は買いたくなってきますね. そしてニコチン規制により急落したままで推移している MO も捨てがたい. はてさてどうしたものか...


両社を買うなら ETF でもよいのではと思う今日この頃
VDC の構成銘柄 1 位は PG です. 構成比の 11.6% を占めています. そんなわけで個別株で PG を買うか, パッケージ商品である VDC を買ってその他の銘柄にもまとめて投資するか悩んでいたわけです. ETF を買うならば生活必需品大型銘柄を集めた XLP を買う可能性もありますがどちらにするか悩むところですね.


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参考資料
10 年チャート ETF 比較


今年最も調子が良い VFH ですが金融危機後の下落率が -79% と断トツで悪かったために 10 年経過後の現在でも -14% 強と危機前を回復していません. 金融危機直前は金融株がとても割高だったこともその原因の一つですね.

ETF 説明


SBI HP より抜粋

関連記事です.

米国株投資家に人気のある 2 銘柄を比較してみました.両社とも VDC の組み入れ銘柄です.
Kellogg (ケロッグ) と General Mills (ゼネラル ミルズ) を比較した. 

他にもいろんな記事を書いています. 詳細はタブ内を参照ください.

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