外国株投資における為替との付き合い方②

前回からの続きです. 前回は投資するうえでの為替との付き合い方についてまとめました. 今回は,

② 為替により含み損を抱える可能性をどの様に考えているか (またはどのように対処するのか)

こちらについてまとめます.
私は基本的に配当成長を目指す投資方針です. この事を前提に話を進めます.

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ポイントは以下の 3 点です.


・損失が出ることは恐ろしいことではない. 何故ならば損失も有効利用できる.
・お給料として円貨での安定したキャッシュフローがある.
・現金比率を 15-20% 程度常に用意しており, 十分なリスクヘッジを行っている.


・損失は恐ろしいことではない.


株の値下がりでも, 為替差損でも, 損失の発生は特段恐ろしいことではありません. 何故なら損失も有効利用できるからです
為替でも, 株でもそれらの値動きにより生じる損失は原因は違えども同じ損失です. 損失は有効に利用することができます. それは損出しによる課税額の圧縮です.


配当金の税金対策のために売却して損失を確定する.
買った会社が思惑通り値上がりし含み益となった場合でも, 為替変動から含み損となることも十分にあり得ます. この時には一旦売却することで年間受け取り配当金と同額の損失を出し相殺処理に使います. 私は基本的に持ち株が一般口座預かりのため確定申告が必須なのですが, こうすることで配当にかかる税金について後日還付が受けられます. 受け取った還付金はそのまま全て再投資に回しています.


為替差損により生じた損失の場合には売却した翌日に同じ株を同数買い付けて資産状況を元に戻します. 一方で株価が売り込まれて損失が出ていた場合には以下の2通りで対応します.


会社の状況により売却後の行動は変わる.
会社の経営状態等により売り込まれている際はその後の行動が変わってきます.


・一時的に売り込まれているだけなのだと判断するのなら翌日に再購入
買い戻すことに迷いはないですね.売却した銘柄が, 一時的に売り込まれているだけと判断するなら売却した次の日に同株数を買い戻します. 状況によっては, さらに保有株数を増やすこともあります.


・見込み違いで将来性に疑問符が付く
投資した会社が見込み違いで将来性が無いと判断すれば, 売却資金は他の会社への投資に振り向けます. 含み損を抱えた銘柄を損出しのために売却する行為は, サンクコストに囚われて機会損失を生む危険性を下げることにも繋がります. 積極的に活用しましょう.


この様に損失が生じた株にも十分に活用する方法が残されています. これも, 配当金として安定したキャッシュフローが毎年あるからこそ実行しやすいといえます.

※損出しの方法と注意点についてはいずれ別記事にまとめます.


・給与収入として円貨での安定したキャッシュフローがある.


ゴールドマンサックスの研究によると, この 10 年間で見るならば円はリスク資産と最も逆相関を示す通貨であることが知られています. その逆相関具合がどれほどかというと, 金価格以上にリスク資産と逆相関を示してきたようです. (実際に安全な通貨かどうかは別として) 金以上の安全資産として円が扱われてきたといえます ( 詳細は Bloomberg の記事を参照ください.)


私たち日本人は基本的に給与は円貨で支払われます. そしてその基本給は例え不景気であろうとも滅多なことでは減給されませんし, 私たち労働者も滅多なことでは仕事を失いません. 以前まとめた記事の通り良くも悪くも諸外国と比較して安定な雇用環境を維持してきたのが日本の特徴です. この特徴が日本人投資家の最大のメリットになります. 不景気でも安定したキャッシュフローが円貨で手に入るわけです.  


先の Bloomberg の記事の通り, リスク資産と逆相関で円貨の価値は上がる傾向があります. これは不景気の時にはドル換算で月収が増えるという事を意味します. この様に見た場合, 給与として円貨で安定した月収がある状態は, 既にリスクヘッジがある程度行われている状態とみることができるわけです.


・現金比率を 15-20% 程度常に用意しており, 十分なリスクヘッジを行っている.


円貨による月収と合わせて, 私の場合は現金比率を常に 15-20% 程度用意しています. これは給与からの再投資およびそのリスクヘッジだけでは既に対応不可能な額まで投資資産が膨らんでいるからです.


現金比率が高すぎると思う方もおられるかと思いますが, 現金は緩衝材の役目を果たします. 投資は利益を最大化することも大切ですが, それ以上に退場にならない為のリスク管理が最も重要です. 先の金融危機の経験から, ある程度の現金比率を維持して投資を行った方がより柔軟な対応が可能であることを学んでいます. この時の経験を踏まえて 15-20% 程度の現金を常に確保し投資を行っているわけです.


不景気や円高の際には積極的に投資を行うことにより, 好景気の際に芽吹く種を蒔くことができます. 投資家にはつらい時期ですがこの時期に投資を積極的に行えるのは先の円貨による安定した月収と 15-20% 程度を保っていた現金比率のおかげです.


為替は投資をより複雑にする厄介なものではありますが, 上手く付き合えば再投資の絶好の機会を与え, また, 損だしによる税支払いの繰り延べに用いることもできます.

これら価格変動により生じるリスクは株式投資のリスク管理と同じく現金比率を調整することである程度対応可能です.
その為にも節度ある投資を心掛け, 市場に残る努力をしましょう.


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②まとめ
・損失は恐ろしいものではない. なぜなら有効利用できるから
・円貨での安定した給与収入がリスクヘッジになる
・15-20% の現金を常に用意し柔軟性を保っている


これら 3 点のリスク管理により, わざわざ FX を用いたドル売りヘッジをしなくても, 為替変動への対応は十分に可能です. 私たちの普段の生活にも言えることですが, 十分な量の現預金は保険の代わりとして活用でき, 有事の際には家計の安定へと寄与します. これは投資にも言えることですし, 松下幸之助によるダム経営手法としても企業経営の場で知られています.


リスクヘッジとしてある程度の現預金を手元に用意することで, 株価や為替の変動による損失への対応が容易になります. 人によってはオプション取引をも駆使し, リスクヘッジするのでしょうが, 投資活動はできる限りシンプルに保ちたいというのが私の考えです. ある程度の現金比率を保つというのがその答えになります.


全体のまとめ
為替変動は確かにリスクですが, 上手く付き合えば損だしなどで利用することができます. 為替変動よりも重要なのは参加する市場であり投資先企業の選定です. これらの選定さえ間違えなければ, 為替変動などとるに足らないものとなるでしょう.


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関連記事です.
※損だしの方法については別記事に後日まとめます.
まとめました
節税のための損出し方法

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