P/L (損益計算書)
P/L から分かること
P/L から分かることは会社が稼ぐ力です.
売上高, 営業費用 営業利益, 経常損益, 特別損益と様々な項目がありますが, 重要なのはそれら項目から求められる 売上高営業利益率, 売上高経常利益率, 売上高純利益率の 3 つです.
これだけ分かればとりあえずは十分です. それぞれ営業利益, 経常利益, 純利益が売上高の何% あるのかを示す数字です.
これだけ分かればとりあえずは十分です. それぞれ営業利益, 経常利益, 純利益が売上高の何% あるのかを示す数字です.
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P/Lの中身
上から順に
売上高
(営業費用)
営業損益
経常損益
特別損益
税引き前利益
税引き後利益
こんな感じになっています.
売上高
営業活動でお客様から得た売上の総額です. 掛かった費用を引く前の値です. 売上高で会社の規模が分かります. この値の推移を見ることで会社が発展しているのか縮小しているのかが分かります. ただ, 私たち投資家にとっては実際に手元に残るお金が重要ですから, この数字だけではあまり意味がありません.
営業費用
原材料費や水道光熱費, 人件費などの費用がここで集計され, 売上高から引かれます. 減価償却費についても同様でこちらで示されます.
営業損益
営業損益=売上高-営業費用
で導き出されます. 企業の行っている事業が黒字なのか赤字なのかが営業損益で分かります. 黒字の場合には売上高営業利益率を見ることで企業の稼ぐ力が分かります.
経常利益
営業外で毎期かかってくる支払利息や毎期受け取る受取利息など経常的に生じる損益を加えて得られる値です. 営業利益が出ていても, 支払利息の負担が大きいために赤字となる会社がバブル崩壊後にはよくみられました.
例
マンション開発大手の大京は支払利息負担のために倒産寸前へと陥り 99% 原資による株主価値の圧縮とその後のデットエクイティスワップ (Debt Equity Swap) により企業再生を行っています. DES は債務を普通株式へと転換し債務を圧縮することで企業再生を図る手段です. 当然既存株主の価値は毀損されますよね. まさに Debt (債務) により Equity (普通株) が dead (死) するわけです. まぁ, これをやらないと企業そのものが死ぬので致し方ない面はあります.
そんな可能性のある会社を買わないためにも, 損益計算書での経常利益が黒字か否かをちゃんと確認しましょう. 黒字の場合には売上高経常利益率で会社の稼ぐ力を再確認しましょう. 加えて, 支払い利息がある場合には営業利益の何割を支払いに回しているのか確認し, 金利上昇時の抵抗力も確認しておきましょう.
特別損益
一時的に生じる損益が示されます. 長期保有目的の有価証券や固定資産 (土地建物などや設備) の売却損益などがこちらに示されます. たまに閉店費用を特別損失として毎期に渡って計上している会社が見られます. 会計上の処理に特に問題はありませんが, 特別損失がもう既に特別ではなくなっているところに注意が必要です.
税引前利益
特別損益を加えて得られる純利益です.
税引き後利益
株主に残る利益です. これが株主の富の源泉であり, 配当, 自社株買いなどの原資になります.
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貸借対照表, キャッシュフロー計算書と合わせて眺めることが必要
損益計算書は会社の稼ぐ力を表します. この表は確かに会社の実力を示しますが, 実際のお金の出入りがどうなっているか調べるには不十分です. そこで, お金の流れを表すキャッシュフロー計算書を組み合わせながら, 稼いだお金がしっかりと回収され, 社内に残っているのか確かめましょう.
会社の資産状況についての確認は貸借対照表により行います. その会社が所属するセクターで一般的に起こりうるリスクに対して耐えられる財務状況であるかを確認しておきましょう. 貸借対照表についての説明は関連記事を参照ください. キャッシュフロー計算書についてはそのうちまとめます.
P/L の具体例
実例として日本電信電話 (NTT) の四半期連結損益計算書を載せておきます. ちなみに NTT グループは日本国内で過去 10 年で最も純利益を積み上げた会社 500 社中の 2 位 (日本電信電話) と 3 位 (NTTドコモ) です. (参照元はこちら 東洋経済の HP です).
私は NTT が日本国内で最も投資適格な会社であると判断しています.
営業利益率 (%) =営業損益/売上高
ですが 17.5% ありますね. .
営業外損益にある支払利息などは営業利益の 1.7% 程しかなく, 金利上昇の影響を殆ど受けないことが分かります.
税引後純利益率は 9.6% ですね. 日本企業の大型株であり, ディフェンシブセクターに位置する企業としては優秀な部類です.
この表には発行済み株式数も示されています. NTT は積極的な自社株買いにより, その発行済み株式数を急激に減らしています. 昨年からの 1 年間で 3.8% の自社株を買い入れていますね.
以下は少しばかり持論です.
NTT について
NTT はドメスティックな産業である割に地域的な制約を受けずに経営できる点が魅力です. 日本国内専業と思われるでしょうが, 売上高 8.3 兆円に対し, 海外売上高が 1.3 兆円あります. 海外事業の営業利益率は 4.5% 弱と, 国内の営業利益率 17% 前後と比較して見劣りしますが海外でも確実に稼いでいる会社です.
一方で, 公益事業株として JR 各社や電力会社各社も魅力的ではありますが, 一定の地域に集中した経営はリスクが大きく私の場合主たる投資先にはなり得ません. NTT への投資を行う際に東京電力や中部電力などへの投資と比較検討しましたが, 事業エリアが特定地域に集中している点には大きなリスクを感じ NTT への投資を選択しました. その後に起こったのが東日本大震災です. もし東京電力を選択していたら, 私の投資成績は大きく異なるものとなっていたことでしょう. 日本株への投資の場合, 自然災害におけるリスクも十分に考慮しつつ投資先を選ぶ必要があります.
上記は NTT の増配実績です. 米国の配当成長株に負けない増配記録といえるでしょう. 更に素晴らしいのはこの増配にも関わらず配当性向が 32% 前後に落ち着いていることです. 無理して払っている配当ではないという事ですね. NTT は技術力も高く, 積極的に研究開発も行っています.
自社株買い, 定期的な増配で株主に報いつつ, 研究開発にも手を抜かない姿勢に好感が持てます. 日本の発展に資する企業の代表格として今後の成長を期待しています.
そんなわけで, 株価が下がれば拾っていきたい会社の一つです.
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