3000年12月30日火曜日

持ち家より賃貸の方が有利に決まっている

不動産の目利きができ, 将来値上がりが見込める物件を購入できるならこの限りではないでしょう. そして日本以外の国ならば先ず家を買う事を優先してもよいでしょう. 何故ならアパートメントの家賃が毎年 2-5% 程度値上がりしますし, 築年数による価値の減額がほとんどないからです. こういった環境が基本としてあるならば持ち家を選択する価値はあります.
しかしここは日本ですから日本基準で考えましょう.

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一般的には賃貸の方が有利
投資家に限って言えば賃貸一択といっても過言ではありません.
日本の場合, 建物の価値は年と共に減少し, 20 年もあればほぼゼロとなってしまいます. そしてこの傾向から賃貸物件の賃料も築年数と共に減少し, 築 30 年の物件であれば新築の 6-7割前後の賃料で借りることができます.


現在私の家族は築 30 年のアパート (RC 構造 3 階) に住んでおり, その家賃は約 80,000円/月です. 仮にもう少しいい立地又は広いアパートに引っ越したとしてその家賃が 90,000円/月となったと仮定しましょう. そして平均寿命より少し長生きし, 90 歳まで生きたとします.
現在私は 30 代前半ですからこの家賃のアパートに 60 年暮らすことになります.


この様に仮定した時の累積賃料は 6,500万円になります. また, ライフスタイルの変化によって引っ越しする可能性があります. その引っ越し費用を 20 万円/回と見積もって 3 回行ったと仮定すれば 一生のうちに 60 万円が必要ですね.

賃貸仮定
居住期間: 60 年
家賃: 90,000円/月
60 年間累積賃料 6,500 万円+引越費用 60 万円=6,560 万円


中々な値段ですね. しかし, 持ち家はこの上を行きます.
1,000 万円を頭金として 4,000 万円の住宅を購入したとします. 居住期間は上に同じく 60 年です. 金利は 1% 固定金利と仮定し, 元利均等返済 (30 年) を選択しました.


持ち家仮定
居住期間 60 年 (借入金返済期間 30 年)
頭金 1,000 万円
借入 3,000 万円
利息    474 万円
合計 4,474 万円


累積賃料との差が 2,026 万円あり, 一見すると持ち家が有無を言わさず断然有利に見えます.


しかし不幸な事に, 住宅を購入した場合掛る費用はこれだけではありません.
その掛る費用とは固定資産税と修繕積立金, 管理費です (管理費はマンション購入の場合掛ります. 積立金は一戸建てでも必要です. 住宅は定期的にメンテナンスが必要だからです).


固定資産税
買った住居のタイプ, 立地によりその税額は変わりますが, およそ 15-20 万円程度は掛ってくると考えるのが妥当です. ちなみに私の実家の固定資産税は毎年 50 万円程度と両親から聞いています. なかなかな金額ですね.


今回は固定資産税を 18.7 万円/年 と仮定します.


修繕積立金, 管理費
家も老朽化します. その修繕には当然お金が掛かります. よって, もちろんその費用の積立が必要ですよね. また, マンションの場合管理費も忘れてはいけません. 以下の様に管理費, 修繕積立金を仮定すると年間で 204,000 円の費用が掛かります. 固定資産税と合わせた 60 年間の累積で 2,344 万円の費用が掛かります.
また, お風呂の給湯設備やエアコンなども消耗品で, これらの寿命はおよそ15 年です. 最低でも 3 回は各々交換が必要となります. 一回 30 万円として 3 回で 90 万円です.


修繕積立金: 10,000円/月
管理費: 7,000円/月
合計 17,000円/月


修繕積立金及び管理費年間 20.4 万円
固定資産税年間 18.7 万円


60 年間累積 2,344 万円 + 給湯設備等の修繕交換費用 90 万円=2,434 万円


先ほどの住宅取得費用と固定資産税その他を合計すると


取得費: 4,474 万円
税など: 2,434 万円
合計 6,906 万円


賃貸とさして変わらないか, むしろ400 万円弱ほど高い金額になりましたね. この結果から賃貸と持ち家の比較はどちらもほとんど変わらないという結論でいいのでしょうか. まぁ,そうですね. 額面的には殆ど変わらないといった結論に見えると思います.


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結果として手元に残る築 60 年のマンション
しかし持ち家の場合, 7,000 万円近い金額を負担して手元に残るのは築 60 年という今にも天寿を全うするかと思えるほどに老朽化したマンションです. 家族の思い出や愛着も沸くでしょうが, 自己の一生をかけた結果, 手元に残るものが資産価値がほぼゼロとなった不動産一つというのも悲しい話だとおもいませんか??


賃貸の場合には資産価値ゼロの不動産すら手元に残らないと思えばそれもデメリットに見えるかもしれません. しかし, 日本の住宅市場の流動性の無さを鑑みると, むしろ資産価値ゼロの不動産を残された相続人の立場から言えば『こんなもの残されても困る. 要らない』と思うのが一般的ではないでしょうか.
さて, 賃貸でも持ち家でも夢の無い話となりましたが. これで話は終わりでしょうか. いいえ, まだまだ続きます.


持ち家の費用試算では頭金 1,000 万円を用意している.
重要な点を忘れてはいけません. それは持ち家購入時に 1,000 万円を頭金で使っている点です.この頭金と同額を賃貸の試算でも用意しないのはフェアじゃないですよね. そして私は投資家です. この 1,000 万円を全て投資に回します.


頭金に 1,000 万円使う代わりに株式市場へ投資する.
もうこうなると結論は見えますよね.
全額を VTI 又は VOO に投資したと仮定し, 株式の平均利回りから若干保守的に見積り, 年率 5% で60 年間運用したと仮定します. その結果, この 60 年間で元本の 1,000 万円は約 1億8,700 万円へと大きく変わります.


1,000 万円投資した際の 60 年後の評価額
1.87 億円


賃貸で一生を過ごした際には子供たちに不動産という資産を残してあげることはできませんが, その代わりに米国株 ETF 1.87 億円が手元に残ります. そしてこの 1.87 億円は値上がり益と配当込みで年間 940 万円近い価値を生み出し続けるわけです. 残された家族としてもどちらの方が有り難いか比較するまでもないですね.


いったんまとめ
60 年経過後の住宅資産価値はほぼゼロのため, 賃貸と持ち家で迎える結果はほぼ同じといえます. しかし築 60 年の物件を売却する手間を考えたら相続で残された方はむしろ困るでしょう.


住宅購入で頭金として使った 1,000 万円を投資に振り向けたと仮定した場合, 手元に 1.87 億円の資産価値を有する ETF が残ります. その ETF は死後も年間 940 万円近い価値を生み出し続けるうえに, 高い流動性を有する事から現金化も容易です.


ちなみに, 住宅購入の試算で頭金として用いた 1,000 万円で投資を行ったと仮定しても,  この場合は借入金が 4,000 万円に増えます. そして利息を含めた支払総額が 4,632 万円に増加してしまいます.


しかもこの場合の月当たり返済金額は 12.9 万円程度が必要となるうえに固定資産税, 修繕積立金, 管理費の合計 3.3 万円を加えると合計 16.2 万円/月 が固定費となります. 定年退職するまでの 30 年間休むことなくこの生活が続くわけです. 家を維持するために働き続け, その結果残されるものは資産価値がほぼゼロとなった上物一つだけです.これを悲惨と言わずしてなんと言えましょう. もう何のために生を受けたのかわからない人生へと成れ果てます.


賃貸と持ち家の月当たり費用の差額も運用に回したら?
更に追い打ちをかけます
賃貸した場合の家賃: 9万円/月 と先ほどの費用 16.2 万円の差額 7.2 万円を積立投資したと仮定します. これも1,000 万円の運用利回りと同じ年間運用益 5% と仮定し, 期間は借入金の返済期間 30 年間とします.


年間積立額 86.4 万円
運用益 5%/年 (複利)
運用期間 30 年


累積投資額 2,592 万円
累積運用益 3,148 万円
合計約 5,740 万円


元本と運用益の合計として 5,740 万円が手元に残ります.


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どう足掻いても賃貸には勝てない
持ち家をフルローンで購入した代わりに株式投資により 1.87 億円の資産が残ります. しかし月当たり 16.2 万円の費用負担に追われながら借入金返済までの 30 年間を通し定年退職まで必死に働く生活が待っています. ただローンを返済するだけでこの生活です.


一方で賃貸の場合には 1.87 億円の資産に加えて持ち家フルローンの返済額と賃貸家賃の差額 7.2 万円を投資に回した場合, 30 年間の累積で 5,740 万円が手元に残ることとなります.


その合計額は
1.87 億円+0.57 億円= 2.44 億円
となります.


投資家と仮定して試算を進めてきましたが, 今回購入した ETF は VTI 又は VOO でありまさに投資の王道といえる金融商品です. そして, これらをただ買い持ちするだけならば特別な技術は全く必要としないため, この試算結果は誰でも出せる運用成績ということになります.


何かを選ぶ時には機会費用も考慮しよう
家を買う場合を例として今回は取り上げましたが, 何かを選ぶときににはその選択を行ったことで生じる機会費用も考慮しなければなりません. 今回の例で生じる機会費用は頭金 1,000 万円の運用収益 1.87 億円です. 『持ち家で暮らす贅沢』とは, これほどの機会費用が含まれているということです. これらを全て分かったうえで, それでも持ち家を選ぶならまさに英断といえますし後悔もしないでしょう. しかし, 営業担当の意見を聞くままに契約しローンを返済する一生を迎えたなら, 私の場合は後悔しか残りません.


こうはならない為にも色んな道を考えて納得してから進みましょう.


私は住宅ローンの返済を行いながら, 子供の学費積み立てもしっかりと行っている世間一般の子育て世代を心から尊敬します. 上記の試算結果から想像される過酷な生活にも耐え続けるのですから頭が上がりません.

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