アゴラ記事 それでもREITを買わない「3つの理由」が間違っている理由

Google のおすすめ記事で表示されていた それでもREITを買わない「3つの理由」を読みましたが REIT の仕組みを勘違いしているのではないかと思われる箇所がありました. Google さん, もう少し中身を吟味しておススメ記事に表示してほしいですよ(´・ω・`)
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記事を書いた方は資産運用に関して本をいくつか書いているようですが, こんな無茶苦茶な知識で本出せちゃうんですね. 世に出回る書籍に関して, 本当に読んだ人の役に立つものなのかと考えさせられました. この内容ではハッキリ言って地雷です.

さて本題に移りますが, 本記事で触れられていた購入しない理由は下記の通りでした.

<理由1> いつも買わなければならない
この理由の拠り所は

① REIT は投資家から流入した資金を現金として滞留できず物件購入に使わなければならない.
② 上がると REIT の買いが増えるので適切な機会で物件購入ができない.

この 2 点ですが REIT の仕組みを理解していないことがよくわかるコメントです. 

上場している REIT は基本的にクローズドエンド型です. これは既に出資された資金に対応する株券を発行し, それを証券取引所で売買します. ですからこの価格がいくら上昇しようが REIT に新たな資金が供給されるわけではありません. 

REIT の資産が増えるのは増資した時です. REIT が新たな物件取得を考慮した際に投資家から出資を募り購入に必要な資金を集めます. 

この出資を募る時期について, 市況が好調な時の方が資金を集めやすいため, その結果として運用効率が下がる可能性については多分にありますが REIT の運営方針と関係なく一方的な資金流入により物件購入が強制され, その結果として REIT の運営が揺らぐなどということはありません. 

これが REIT が利用するクローズドエンド型の利点です. 安定した運用が可能となります.

①, ② のデメリットはオープンエンド型の投資信託で起こります.
最近の典型例はひふみ投信です. 本投信は現在その運用結果に変調をきたしています. 

カンブリア宮殿放送後の急激な資金流入により厳選した中小型株への投資という投資方針を放棄せざる負えませんでした. この様に, その資金流出入量により運用方針が守れなくなることがあります. オープンエンド型の利点はいつでもその基準価格で入出金可能な点ですがこの利点がそのまま欠点となりえます.

(カンブリア後にひふみ投信へ参戦した投資家による資金量の爆発的な増加は (これをカンブリア爆発と呼ぶこととする), その急激な規模拡大によりひふみ投信の投資効率を引き下げる事に繋がり, この低迷する運用成績から失望した投資家が急速に資金を引き揚げる為に, カンブリア爆発以前に投資した投資家をも巻き込みながらカンブリア絶滅するかもしれません.) 


何度も言いますがクローズドエンド型を採用する REIT ではこんなことは起こりません.

REIT の様に市場で売買するクローズドエンド型のデメリットはその基準価格と株価が必ずしも一致しない可能性があるため, 資産価格と比べて割安または割高な価格で売買が成立することが多々ある事でしょう.

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<理由2> 実はそれほど高利回りではない
この理由の拠り所は

・借り入れを含めた総資産で見た利回りが 3-4% では低い

との事です.
レバレッジを効かせた投資結果としての利回りが現物不動産と比べて高いといえないとの主張です. 

これは投資家が負うリスクとリターンに目を向けなければ議論ができません.

REIT は

① 市場で容易に売買が可能である (現物に比べて流動性が格段に高い).
② 多数の物件に分散投資し空室リスクが分散される
③ 個人が借り入れるより有利な金利で社債の発行や借入ができる
④ 個人が投資できないような好立地の物件を取得できる

この様な利点があります.
特に①に示す様に, 現物不動産と比較して各段に上がる流動性は REIT 最大の利点となります. 不動産は全く同一の条件を持つ物件が無いため, いわば一点ものの商品です. こういったものの売買では買いたい人が現れて, 売りたい人と意見が一致して初めてその売買が成立します. 

この流動性リスクを加味した場合, 現物不動産の投資については利回りが十分に高いもので無ければ割に合わないものとなります.

ちなみに私も不動産投資を何度も考慮したことがありますが, いつも以下に示すリスクが物件購入の大きな障害となりました.

① 物件流動性
② 空室
③ 管理費や修繕費等の費用
④ 借入金金利
⑤ 物件管理
⑥ 入居者募集
⑦ 家賃値下圧力
などなど。。。

ここに示すリスクと家賃収入のバランスを取る為には最低でも表面利回りが 15% は無いと投資する魅力がありません. この利回りから借入金金利, 管理費, 保険などの諸経費を引くと大体 6-7% 程度の利回りになってきます. 利回り 7% なら複利運用を 10 年間おこなう事でおよそ資産が倍になりますね. これ以上の利回りが無ければ物件流動性に係るリスクをとる価値がありません. (蛇足ですが現物の場合この「複利運用」自体も十分に大きな規模が無ければ不可能です. もはや一個人投資家の資産規模を超えてきます)

REIT でも現物不動産と同じタイプのリスクを抱えますが, 個人が投資できる物件と比較して良好な立地など, より高い競争力を持つ物件への投資が可能となります. 市場で取引可能な為, 流動性に関しても申し分ありません. 圧倒的に現物物件と比較してそのリスクが下がることが分かります. 

そして REIT の利回りは借入金金利, 管理費, 保険, 入居者募集, 減価償却などの諸経費を全て控除した後の利回りです.

現物で実質利回り 6-7% を狙うなら, 抱えるリスクとリターンを鑑みれば 3-4% の利回りで十分に REIT へ投資する魅力があります. 今の金利水準を考えても妥当です.

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<理由3> 税メリットが小さい
相続等を鑑みた際の節税メリットは現物不動産の方がすぐれていることは確かです.
この点に反論はありません.

しかし, 以下は記事の抜粋です. どう思いますか?

資金力や借入できる信用がない方は、残念ながら現物不動産には投資できません。しかし、お金を借りる力のある人、まとまった現金・預金を持っている人には、REITよりも都心中古ワンルームへの投資が断然優れています。お金を借りれれば、頭金10万円で投資できますし、キャッシュのある人は現金購入すれば良いのです。

この後に続く言葉を要約すると「変な買い物をしないために私の書いた本を読んでね」ってことでした.

借入を行って物件を買わなければならない様なお金の無い人が行う節税のメリットって何なんでしょう??そもそも節税する必要ありますか? たかだか 2000 万円のワンルームマンションの購入で得られる節税メリットもやはりたかが知れています. 

著者は以前書いた本で取り上げていたワイン投資で多くの犠牲者を出したと噂に聞きましたが, 新たに著した今回の不動産投資の本でこれに続く犠牲者を出しかねないと危惧しています. 

個々人それぞれが自身を守るため, 撒かれた地雷を避けられる慎重さと思慮深さが必要な時代が続きますね.

私が中古のワンルームと REIT の2 択を迫られたら迷わず REIT を選びますよ.

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さて, 地雷という意味ではある意味関連記事です.

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H社が販売するタイムシェアと呼ばれるリゾート会員権. その中身とジワジワ来る地雷感がたまらない

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