(投資資料) iDeCo, 積立て NISA を通した MSCIコクサイ 連動投信への投資は理に適っている.


MSCIコクサイ



積立NISA に適した投資商品を考察した際に, MSCIコクサイをベンチマークとした [三井住友TAM-SMT グローバル株式インデックスファンド: 信託報酬 0.54%] が国際分散投資を行ううえでひとつの方法だと結論しました.


人よってはあんまり評判の良くないMSCIコクサイですが日本人が手軽に国際分散投資をするには良いベンチマークだと判断しています. 幸か不幸か勤め先の会社が提供している確定拠出年金でも, 選べる外国株投信はこの MSCIコクサイに連動するタイプだけなんですよね.




この信託報酬が 0.8%/年とかなり割高なのが非常に残念なところですが, これ以上に良い投資商品が無いのも事実です.


さて, 私自身にも少なからず縁のある MSCI コクサイですが, 本指数は MSCI (モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル) が、日本を除く先進国の平均株価として定めている指数です. この様に日本を除く指数だけあり, 日本人投資家に向けて作った指数であることが分かります. この指数に連動する ETF は米国市場に上場しており TOK のティッカーで取引されていますが, 残念ながら今のところ積立NISA では買うことが出来ません.

この ETF の日本市場版が [上場インデックスファンド海外先進国株式(1680)] ですが, こちらの売買代金はかなり少なく, 一日に 3000 万円程度しかありません (2017/04/06現在). これでは流動性に不安を覚えるレベルであり, とても購入対象になりません. 正直小型株以下の流動性です. こうなると残る手法は必然的に本指数に連動した投資信託への投資となります.

指数の特徴: MSCIコクサイ とは
主要 22 ヵ国の株式に分散投資し, 採用銘柄の合計時価総額の変動を計算する指数です. 若干複雑なのが, 単純に時価総額を株数で割った値ではなく, 政府保有株数等の大口の株数を除いた, 実際に売買が可能な株数を元に算出した浮動株数調整後の数値を利用しています. 細かい計算は分からなくていいと思います. 単純に時価総額比例配分じゃないんだなって知ってるくらいでいいと思いますよ.

投資比率

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投資先国, セクター比率を以下に円グラフで示します.
MSCIコクサイ投資先国比率
当然ですが最大の市場規模を誇る米国が 2 位以下を大きく引き離す 67% を占めています. 以下英国, カナダと続きますが二位以下で既に 10% 以下です. ほとんど米国市場連動型の指数といって良いでしょう.
セクター比 (MSCIコクサイ)

セクター比 (S&P500)

一方セクター比率ですが, S&P500 指数と比較するとこれには大きな違いがあります. MSCI コクサイでは金融 (17.4%), 情報技術 (15.3%),ヘルスケア (12.2%), 一般消費財 (11.2%) と続きますが, S&P500 指数は情報技術 (22.1%), 金融 (14.29%), ヘルスケア (13.91%), 一般消費財 (10.1%) となっています. MSCI コクサイの方がよりバランスのとれた, 均一なセクター比率と言えるでしょう.

続いて上位構成銘柄です.
MSCIコクサイ
組み入れ上位 10 銘柄
APPLE INC 2.24%
MICROSOFT CORP 1.45%
 AMAZON.COM 1.04%
EXXON MOBI 1.03%
JOHNSON & JOHNSON 1.02%
JPMORGAN CHASE & CO 0.99%
FACEBOOK INC-A 0.96%
WELLS FARGO & CO 0.84%
GENERAL ELECTRIC CO 0.81%
AT&T INC 0.78%

S&P500

構成比が異なるだけでもうほとんど一緒です. 指数の算出方法が異なる為に多少銘柄が入れ替わってますが特筆すべき点はありません.

まとめ
MSCIコクサイの特徴は米国を軸としつつ, 先進国の成長についても浅く広く取り込むよう設計された指数です. 投資先が 2~3 ヵ国に偏りがちな個人投資家には, 手軽に国際分散投資が可能な良い指数だといえます. 積立て NISA から話が始まりましたが, 特に iDeCo の投資対象としては理にかなった商品です.
一般的な会社員で年間 24 万の拠出額がありますが, 全額これにかけ続けてもいいですね. ちなみに私はというと, 会社の確定拠出年金は全てこの指数に連動する投資信託に振り向けてます.

投資信託, ETF 特有の注意点.
さて, 前回の考察ではより安定した運用を期待して500億円以上の資産規模を足切りとして用いました。これは投信やETF で生じる可能性のあるトラッキングエラー(ベンチマークとの解離)が資産規模の小さい ETF や投資信託で特に起こりやすいことを意識しての判断でした.

ちなみに同指数に連動するニッセイ外国株式インデックスファンド (以下ニッセイ外国株インデックスと略) は信託報酬が 0.2% 程度と非常に安いのが魅力ですが, 過去にトラッキングエラーを何度か起こしており, 一時期インデックス投資家ブロガーの間で話題になっていました.

このニッセイ外国株インデックスのマザーファンド規模は 356.7 億円 (報告書16年11月より) 程度しかなく (運用報告書から引っ張ってきましたがデータに間違いがあったら申し訳ありません.), MSTグローバル株式インデックスファンドのマザーファンド 2766.3 億円 (HP より, 16年11月時点) と比較してかなり小さいのが分かります. 信託報酬の安さだけでは良し悪しを測りきれないのが投資信託の難しいところです.

同一指数に連動した投資信託でも, 運用元により結果に多少の違いは生じるものです. しかし私たちがそれを事前に見抜くことは至難の業です. 本当に長い年月を掛けて積立てていくものですから, 運用元の分散投資を考慮してもいいかもしれませんね.


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